辞任しなければ取締役会で解任する予定だった・野副元社長問題で富士通が見解

 富士通は14日、野副州旦元社長の辞任を巡る一連の問題についての同社の見解を発表した。野副元社長の辞任については同氏が富士通の子会社であるニフティの再編問題で、好ましくない風評のあるファンドを利用しようとしていたため、役員らが注意したが、野副元社長がファンドとの関係を維持していたことから、役員合意のうえで、辞任を求めることにした。もし、辞任しなければ取締役会で解任することで役員は合意しており、密室で辞任を迫ったわけではないと説明した。

  見解では、野副元社長を辞任に追い込む原因となったファンドについての問題点は指摘されていない。「そのファンドの風評・評価について、それが真実であると立証されないかぎりは、関係をもって良いというものではない」としているが、説得力に欠ける。ファンドのどこが問題なのかを具体的に指摘せず、風評だけで決断の変更を迫られたら経営者はどうすればよいのかとの疑問は残る。野副元社長の反対勢力が大手銀行のAがこういっている、Bもこういっているというのは簡単だ。

   「風評・評価が事実であった場合に生じるリスクが極めて大きい」というくだりも、具体的なリスクの記載がない。野副元社長は「上場廃止になるおそれがある」と指摘されたため、辞任したと説明している。上場廃止となるほどのリスクとはどんな内容なのか、という疑問には一切、こたえていない。富士通の見解は「社長のこうあるべき論」を述べているにすぎず、具体性に乏しいといえる。辞任は形式で、実質的に解任した以上、当時知りえたファンドの問題点、リスクの大きさを具体的に示さなければ、内外の理解は得られない。

▽富士通の発表は下記の通り
<野副元社長のファンドとの関係と富士通の見解>
【ニフティプロジェクトと某ファンドの関わり】
(2009 年2 月の指摘)
・2009 年2 月上旬、野副氏主導にて、当社の子会社であるニフティ株式会社の再編、具体的には某IT 企業との経営統合が経営課題として採り上げられた。
・その際、野副氏は、某ファンドをこのディールに関与させることを考えていた。一方で、当該ファンドについては、複数の金融機関から、好ましくない風評があるとの情報が提供された。
・当社が当該ファンドと取引等の関係を持つことはFUJITSU Way に照らし相応しくないとの判断に至り、秋草取締役相談役から野副氏に注意し、野副氏もこれを認め、「当該ファンドは怪しげなので外す」と明言した。小倉常勤監査役も、野副氏から、「あのファンドは怪しげなのでやめました」という報告を受けた。
・しかしながら、野副氏は、当該ファンドの日本における代表者について、自分が最も信頼する人物だと公言していたので、間塚代表取締役会長、大浦取締役、山室監査役、小倉常勤監査役、秋草取締役相談役、黒川相談役は、当該ファンドの動向に引き続き注意しなければならないと考えていた。

(指摘後)
・その後、当該ファンドはニフティの売却案件から外れたという前提で、某IT 企業によるニフティに対するデューデリジェンスなどが進行した。そうしたところ、ニフ
ティが売却されるらしいという情報が金融業界に広まり、複数の買収提案、それも価格的に高い提案が当社に持ち込まれた。
・野副氏も、当初予定の某IT 企業に対する売却を中止し、ニフティの売却は一旦白紙に戻した。この間、ニフティの売却については、当社の経営会議や取締役会などの機関決定は一切なされていない。
・2009 年7 月、野副氏がニフティの売却案件再開を、当社担当者を通じてニフティに通知した。
・調査結果では、野副氏は、某ファンドの日本における代表者と相変わらず連絡をしていることが判明した。
・複数の調査会社による調査でも、当該ファンドについては好ましくない結果が報告された。
・ニフティの売却案件について、引き続き、当該ファンドの日本における代表者が会議に参加していることも判明した。
・野副氏の辞任後の調査では、野副氏も、その人物とのメールのやりとりで、「ファンドをはずす」と明言した後も、当該ファンドがニフティ売却案件に関与することを
認めていたことがわかった。
(2009 年9 月)
・2009 年9 月、間塚代表取締役会長、大浦取締役、秋草取締役相談役で協議し、野副氏とその人物の関係は非常に強く、また怪しいのではずすと自ら明言しながら、なおも関係を継続し、プロジェクトにも関与をさせていることは、当社の代表取締役としては不適格であるとの判断に至った。そこで、野副氏に確認して、もし野副氏とその人物との関係が調査結果どおりであれば、野副氏には辞任してもらうこと、辞任が受け入れられない場合には代表取締役を解職するという方針で、社外取締役の皆様に相談した。

【富士通の見解】 
  社長の中途辞任あるいは解職は、異例のことであるが、問題は、当社の代表取締役社長としての適格性である。そのファンドの風評・評価について、それが真実であると立証されないかぎりは、関係をもって良いというものではなく、むしろ、その風評・評価が相当程度一致しており、万が一その風評・評価が事実であった場合に生じるリスクが極めて大きいということであれば、たとえ個人的に信頼する人物であったとしても、当社の代表取締役社長という立場にある限りは関係を自粛する、当社の事業には関与させないという判断が必要である。それがグループ17 万人の従業員を預かるトップであり、かつFUJITSU Way の最高の体現者としてのとるべき態度である。

 この方針で、野中取締役、伊藤取締役、北川取締役、石原監査役、山室監査役、三谷監査役に状況・調査結果を説明し、全員が了承した。

(9 月25 日当日)
・取締役会開催前に、野副氏に対して、事情聴取と弁明の機会を持った。
・野副氏は、当該ファンドは絶対にニフティの売却案件に関与させてはならないと認識し、そう指示していたこと、また野副氏が親交のある当該ファンドの日本における代表者は、当該ファンドの代表者の「手先」「窓口」として機能していると認識していること、一方で、その人物については個人として現在も付き合っており、ニフティの売却案件についても仲介をベースに頼んでいると弁明した。
・この内容は、概ね調査結果どおりだったので、当初の方針どおり野副氏に辞任を要請した。
・間塚代表取締役会長、大浦取締役、山室監査役、秋草取締役相談役、山本顧問、そして書記役で安井法務本部長が出席した。
・野副氏が、辞任届、顧問契約書に署名した。
・その後の定例取締役会にて、野副氏の取締役辞任を決議した。

【富士通の見解】
 一部で報道されているような、取締役会を無視し密室で辞任を迫ったという事実はない。取締役の多数の合意の上で、役割分担として、一部のメンバーで野副氏に辞任を要請したもの。仮に辞任しない場合には、取締役会で代表取締役の解職を議題とする予定であり、野副氏にもこの旨を伝えてあった。
また、取締役会での解職ではなく、辞任という方法を提案したのは、野副氏自身が問題を認識して決断するのであれば、あえて解職というような手段をとるよりも穏当であろうと考えた結果。

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