金融庁が日本振興銀行に業務停止命令、民事再生手続きへ

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 金融庁は10日、経営再建中の日本振興銀行から預金保険法に基づき、「その財産をもって債務を完済することができない」との申し出を受け、同行に対し、すべての業務の停止を命じる行政処分を発表、同行は10日中に東京地裁に民事再生手続きの開始を申し立てる予定との金融担当大臣の談話を発表した。巨額の債務超過となり、経営破たんしたもので、金融庁は預金保険機構を同行の金融整理管財人として選任、同機構のもとで再生手続きを進めることになる。

 金融庁は日本振興銀行を救済せず、破綻処理をとった。預金者に対しては預金保険制度により1000万円まで保護するペイオフを適用、週明けには払い戻しができるよう準備を進めるという。また、融資については第二日本承継銀行へ引き継がれた後、最終的な受皿金融機関に引き継ぐことを想定しているとしている。

 日本振興銀行は中小零細企業への融資を事業目的に2004年に日銀出身の木村剛氏を中心に創業。既存の担保主義ではなく人物本位の融資をする銀行を目指していたが、理想と現実のギャップは大きく、高金利で問題となっていた商工ローンとの関係を深め、傷口を広げる結果となった。

 2009年6月に金融庁が立ち入り検査に入ると同社の経営問題が浮上、検査に非協力的で、法律違反の容疑も明らかとなり、警視庁は木村前会長、西野達也社長ら経営陣を逮捕。社長らの逮捕をうけて、現在は社外取締役で作家の江上剛氏(本名小畠晴喜氏)が社長となり、経営再建にあたっていた。

 木村氏の金融改革に向ける高い理想は挫折した。日本の金融は基本的に担保主義。土地などの資産か保証人を求められ、経営が傾けば貸しはがし、破綻すれば経営者はみぐるみはがされる。これでは新たな産業、企業は育たない。木村氏の理想には多くの人が共鳴したが、実務経営のない木村氏は2005年に同行の社長に就任すると、厳しい現実の壁にぶつかり、事業の方向が当初の理想から乖離していった。日本振興銀行の破綻は日本の中小企業融資の問題の難しさを示しているともいえる。

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